美容医療の安全性の向上についてみてみましょう。わが国における美容整形手術の歴史において、美容整形手術が正式な医療行為であると思われ始めるまでには時間がかかりました。なぜなら健康な身体に外科的侵襲を加える行為だということです。これには安全性が確立されていなかったのです。初期の美容整形手術においては、豊胸術や顔の若返り術といい、皮下にゲル状のシリコンを注入し、合併症を引き起こしたり、隆鼻術と称してプロテーゼ、つまりシリコン樹脂を板状に加工したものを挿入し、後年に皮膚を突き破って出てくる症例などが見つかっています。
大変恐ろしいことです。近年では、医師が正しい解剖学的知識を習得できる機会が増えたことや、医療技術の進展により、美容整形手術の安全性は向上してきているといっていいでしょう。従来では、美容整形手術といえば侵襲性のあるもの、つまり身体をメスなどで直接侵す外科的手術が一般的でありましたが、近年では技術の発展により、皮膚に塗布するだけで一定の効果が得られる薬品や注射するだけで効果のあるものも一般化しています。
これらは、その侵襲性の低さと同時にいわば、注射するだけであったり、塗るだけといった単一の施術であるために危険性が低いため、臨床経験の少ない医師でも比較的手術しやすいのです。特にアメリカ大陸の美容医療界では爆発的に広まっっていきました。近年ではナノテクノロジーや遺伝子技術を利用した技術も研究されているのです。99%の安全性があれば、たいていの方は自分は大丈夫だと思い治療を受けてしまうのではないでしょうか。
ところで、日本赤十字社が安全だと判断して献血した血液を輸血した方に肝炎ウィルスが感染し新聞紙上をにぎわしたことが何度かあります。検査した時点では抗体ができてなく陰性であったのに、すでにウィルスは侵入していてということです。99%の安全性は100人の内1人が危険、あるいは感染するということで、もともと病気ではない方にとってはやはり看過できない数字ではないでしょうか。このように美容整形にも楽観視できない面があります。